紅道族にとって、銀は貴金属であるだけでなく、女性にとって「切っても切れない存在」であり、儀式や日常生活に欠かせないものとなっています。特に白銀は、紅道族の女性の衣装に欠かせない装飾品として用いられています。銀の装身具の多くは、紅道族の職人によって伝統的な手作業で作られています。
紅ダオ族の伝統衣装を長年製作してきたタムキム村トゥオンタック集落のチュウ・ムイ・ナイさんは次のように語った。「紅ダオ族は、針と糸一本一本の繊細な配置と創意工夫で表現された、際立った特徴を持つ伝統衣装で有名です。伝統衣装では、銀貨が円形、星、花などに精巧に作られています。最も手の込んだのはよだれかけで、赤と白の糸で完全に手刺繍され、首の周りに小さな銀の花が細心の注意を払って取り付けられています。襟から下には長方形の銀ボタンが並び、ボタンの表面には月と太陽の花が美しく彫られています。それに付随して、魚、小さなナイフ、ピンセットなどの画像が描かれた銀の遺物一式や、ダオ族の日常生活に密接に関連する画像を描いた品々が添えられています。」
繊細な銀の細工で飾られた色鮮やかな伝統衣装に加え、やはり白銀で作られたブレスレットは欠かせないハイライトであり、衣装の独特の美しさをさらに引き立てています。紅道族の女性たちは、地元の人々が手作りした大きな銀のブレスレットを1~2本身に着けています。職人は、銀の溶解、鋳型の鋳造、成形、模様の彫刻まで、2~3日間もの細心の注意を払い、高い美観を備えた耐久性のある製品を作ります。
紅道族は、女性が結婚すると夫に代わって家事を行うと信じています。そのため、義母は義理の娘に責任と愛情の証として銀のブレスレットを贈ることがよくあります。ブレスレットは持参金であると同時に、義母と娘の絆の象徴でもあります。
銀は伝統衣装を引き立てる装飾品であるだけでなく、豊かさ、健康、繁栄の象徴でもあります。銀を身に着ける人々は、銀が家族に幸運、富、平和、そして幸福をもたらすと信じており、同時に持ち主の富と繁栄を象徴しています。そのため、人々は常に銀を購入するために努力し、貯蓄して保管し、重要な機会に使用します。銀を持たない家族は、銀を購入したり、他の家族と交換したりすることで、銀は一族や地域社会を結びつける絆となります。
長老たちによると、子供が生まれると、母親や祖母は銀の鈴のついた帽子をかぶせます。赤ちゃんの耳に初めて響く鈴の音は、家族からの温かい挨拶でもあり、家族に新しいメンバーが加わったことを示すものです。成長過程、幼少期から成人期まで、人生のあらゆる段階において、銀は紅道族の生活に欠かせない存在です。各家庭では、銀は貴重な宝物として大切に保管され、結婚資金、老後、病気、そして死に備えるための「貯蓄」として使われます。口に銀貨を入れることは、魂が先祖のもとへ還るのを助ける儀式であり、子孫に幸運と平安を祈願する良い言葉と美しい願いを送ります。
特に紅道族の女性たちは、銀の宝飾品の保存に細心の注意を払っています。一つ一つは変色を防ぐため、新聞紙で丁寧に包まれています。衣装はカビを防ぐために箱に入れたり、高いところに吊るしたりして保管し、時折、天日干しをします。各家庭では、銀は宝物として大切に保管されています。多くの宝飾品は幾世代にも渡り受け継がれ、祖父母や先祖に深い足跡を残しています。
現代の文化交流の流れの中で、紅道族の生活は大きく変化し、多くの伝統的価値観が徐々に薄れつつありますが、銀は依然として神聖な価値を保っています。銀は過去の象徴であるだけでなく、古き良き記憶と現代の生活のリズムをつなぐ力強い架け橋でもあります。そのため、紅道族は幾世代にもわたってこの遺産を大切に守り続け、民族の文化的アイデンティティが永遠に受け継がれ、輝き続けるように努めてきました。
出典: https://baocaobang.vn/bac-trang-trong-doi-song-cua-nguoi-dao-do-3179636.html
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