本書には60以上のエッセイと短編小説が収められており、著者の自伝的な構成となっています。主人公「鬼(イット)」の苦難、困難、そして成長の軌跡を通して、読者は幼少期から成人期に至るまでの主人公の生活環境、思考、そして人格を理解することができます。その中でも、最も影響を与えているのは両親です。
「鬼」の家は貧しい村にあり、両親は一年中懸命に働いていますが、それでも食べるものには事欠き、あらゆる面で困窮しています。幼い頃の「鬼」は、「お母さん、どうしてうちはこんなに貧しいの?」とよく尋ねていました。貧しいながらも、親の子どもへの愛情はいつも溢れています。それはまた、子どもたちが将来、勉学や仕事に励むための励みであり、慰めでもあります。家族の食事、料理、田舎での幼少期の遊び、雨の日や嵐の日など、一つ一つの小さな物語が、作者の記憶を感動で満たす触媒のようです。
その記憶の中で、母親のほっそりとした体と計り知れない母性愛は、常に物語のハイライトとなっています。「鬼」は徐々に、母親が子供たちの幸せを願うあまり、自分自身の夢など持っていないことに気づきます。「お母さんは字が読めない」「お母さんは寒くない」「お母さんの涙は何色?」「どうして君たちはいつまでも小さいままなの?」といった一連の物語は、母親の姿と静かな犠牲をより鮮明に描き出し、神聖な母性愛への感謝の念を一層深めてくれます。
一方、「鬼」の目に映る幼い頃の父親は、働き者ではあるものの、静かで他人のことをあまり気にしない人物だった。両親が喧嘩や言い争いをすることさえあり、家中が不穏な空気に包まれていた。幼い頃、「鬼」は母親ほど父親を愛していなかったが、成長し、多くの旅をし、多くの経験を積むにつれて、父親への理解と愛情が深まった。そして、父親がより健康的な生活を送れるよう、悪い習慣を捨てるよう働きかけた。
著者は、小さな物語や実体験を通して、読者に次のことを示していきます。親は時に完璧ではないけれど、子どもには常に惜しみない愛情を注ぐのです。その愛情のこもった抱擁の中で暮らす子どもたちは、しばしばそれを当たり前のこととして捉え、気づかないことがあります。故郷を離れて、生まれ、様々な出来事に遭遇して初めて、家族とのひとときを理解し、大切に思うようになります。なぜなら、そこには愛があるだけでなく、温かさと安らぎを感じられるからです。特に、家族のメンバーが互いに思いやり、理解し、分かち合うことができるとき、初めて家族の絆は永続的なものとなるのです。
作品の3分の2は両親や家族に対する感情について書かれており、残りの部分は著者が親戚、友人、隣人、同僚、露天商などについて書いています。不幸な人生から立ち上がる優しさの物語まで…人間であることについてより意味のある教訓を読者に与えています。
キャット・ダン
出典: https://baocantho.com.vn/them-yeu-thuong-va-tran-trong-gia-dinh-qua-me-lam-gi-co-uoc-mo-a192621.html
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