淡いピンク色は、サパの急斜面に自生する野生の桃の木や、 イエンバイの国道沿いに長く並ぶ桃の木の色です。観光客は、厳しく寒い冬の日々を終えた高地に春を告げる花の生命力に驚嘆します。
北西部では、モクチャウ桃( ソンラ)の花が最も早く咲き、晩秋から初冬にかけて開花し、約2~3週間咲き続けます。フランス原産の桃であるため、2月に咲く野生の桃の花よりも花びらの数が少なく、色も淡いのが一般的です。
2月には、サパ( ラオカイ)へ桃の花を見に行く人もいますが、それは緑の苔むした幹と太い枝が岩山や渓流の奥深くに自生する、古い桃の花でしょう。野生の桃の花を見る喜びは、ラ・パンタンやムー・カン・チャイ(イエンバイ)といった遠方の地へも旅人を惹きつけます。ピンク色の桃の花が咲く森も、国家級の棚田風景名勝に隣接するムー・カン・チャイの名物です。
ここのモン族の人々は、桃の花(モン族の名前はホア・トゥ・デイ)を春を告げる花、つまりモン族の少女たちの衣装を美しい桃の花が飾るガウ・タオ祭の季節を告げる花だと考えています。
白は梅の花の色です。中でもモクチャウの梅は特に有名で、長い冬を越した後、1月下旬から2月にかけて、その清らかな色彩で咲き誇ります。まるで真新しいマントのように、高原を覆う白い梅の花。モクチャウの花の国を愛する人なら、モクチャウは四季折々の美しさを体感できるでしょう。モクチャウはまさに四季折々の花の楽園です。
そして春が来たら、モクチャウを訪れて西北地方の花々を満喫しましょう。梨と梅の花が野生の桃の花と混ざり合い、まるでおとぎ話のような美しい景色を作り出します。一面に広がる白い梅の花の中で、ポム材で覆われた家々の屋根が、村のハイライトのように際立ちます。
桃、梅、梨の木々の下で、高地の人々も色鮮やかな錦の衣装をまとい、春の到来を告げます。観光客は、ハザンからラオカイへ、ライチャウからソンラへ向かう道で、肩に籠を担ぎ、賑やかな早朝市場へ向かう彼らに出会うでしょう。モン族の人々が暮らす小さな村を訪ねれば、モン族の女性たちが日々の錦の刺繍作業に忙しく取り組んでいる姿を見ることができます。そして、庭では、モン族の子供たちが花の季節の中、無邪気に遊んでいます。
平地から高地へやって来る人々は、他では見られない山と森の景色に驚嘆すると同時に、高地の人々の純粋な純真さを愛する。春の花が咲く季節になると、毎年山や森に登り、枯れた野生桃の枝を眺め、供えられる辛口のトウモロコシ酒に酔いしれ、清らかな大地と空の空気を深く吸い込む観光客もいる。そして、古い野生桃の木が平地へ運ばれていくのを見る時、旅人たちはどこか寂しく、胸を打たれる。自然は「あなたの足跡以外は何も残さず、あなたの写真以外は何も持ち帰らないで」と願っているからだ。野生桃の木は森と共にあり続けることを願っている。そして、もしかしたらその時、ベトナムの人々は高地で春を迎え、桃や梅の花の下に座り、山や森でトウモロコシ酒の香りに酔いしれるという、新たな楽しみを見つけるかもしれない。そう、春が来たのだ。
ヘリテージマガジン
コメント (0)